概要
モバイルゲーム、原神のサブキャラ、モナがよく口癖として喋っていた「占星術」ってなんなのか?のまとめです。
1. ゲーム内のモナの運命観とは?
モナは、オープンワールドRPG『原神』に登場するキャラクターで、占星術を専門とする占星術師です。彼女は知識と自己鍛錬を非常に重んじており、特に星の運行が人間の運命に直接影響を与えるという信念に基づいて行動しています。モナの占星術は、未来や運命を予見するための手段であり、彼女自身がその知識を持っているがゆえに、他者の運命にも強い興味を抱いています。
キャラクター背景
モナは、自身の占星術に対する誇りと使命感から、星が運命を司っていると固く信じています。彼女は実力派の占星術師であり、その力を真摯に受け止めつつも、非常に謙虚な態度を持ちます。また、占星術を生業としながらも、経済的に余裕がないため、質素な生活をしているというユニークな一面もあります。彼女は貧乏ですが、それでも星が示す運命に逆らうことはできないと考えており、自分の生活状況さえも運命の一部として受け入れています。
セリフの意味
モナの有名なセリフ「運命は運命の星の導き」という言葉は、彼女の占星術と運命論の中心的なテーマを表しています。このセリフは、彼女が星を通じて人々の運命を読み取ることができるという彼女の自信を示すと同時に、「運命とは星の動きによってすでに定められているもの」という決定論的な見解を反映しています。
また、このセリフには「私たちは星によって導かれ、その星が示す運命に従わざるを得ない」という意味も込められています。モナは、星の動きが未来を決定し、それを理解することで人間はその運命にどう向き合うべきかを知ることができると考えています。ゲーム内では、彼女が運命を読み取る能力を使って他者を助けたり、導いたりする場面も多く見られ、彼女の「運命観」が物語の重要な要素となっています。
モナのセリフ集
- 私の名前はアストローギスト・モナ・メギストス、「偉大なる占星術師モナ」っていう意味です。私に占って欲しいのなら、名前を覚えることが私に対する最低限のマナーですよ…一文字も間違えちゃだめですからね!
- 占いとは、人の決まった運命を正確に示すものです。行き過ぎた装飾は、かえって人々の誤解を招くことになってしまいます。
- 物欲を抑えることは占星術師の修行の一部。質素な生活を送ることで、世界の真実を覗くことができるのです。
- 変えられない、逆らえない、受け入れる以外何もできないのが運命の運命たる所以なのです。
- やむを得ない場合を除き、占星術師は自身の運命を占いません。こういった行為は運命の矛盾を招くことになるから危険だって、昔おばばが言ってました。
- 私が使う「水占の術」は水面に映った星空の幻象に基づいて運命を導き出す占術です。水面に映った偽りの空を通して、世界の真実を覗きます。これはあのおばばが残した唯一のちゃんとした研究成果なんですよ。
- 占星術師にはある1つの禁忌があります。占いをするとき助言をしてはいけないんです、あくまで告げるのは予言だけ。これは占い師自身が他人の「運命」に陥らないためです。けどあなたなら、その「禁忌」を破ってもいいかもしれませんね。 なぜなら、私たちの「運命」はすでに交わっているんですから。
- 私の趣味ですか?星空を眺めることですよ。この現実的すぎる世界で、私たちはみんな星空を眺める必要があると思います。ましてや私は占星術師ですからね。
- 偽りの空、星空の下の運命はもう決まっています。
- 水面の影、さざ波から明けの明星が昇るのが垣間見えますね。
2. 現実世界の占星術とは?
占星術(Astrology)は、天体の動きが地上の出来事や個々の運命に影響を与えるという信念に基づく学問です。星座や惑星の配置が人々の性格や未来を予測するとされており、古代から現代に至るまで、多くの文化や人々に影響を与えてきました。モナの運命論も、こうした現実世界の占星術の要素に深く根ざしています。
占星術の起源と歴史
占星術の歴史は非常に古く、紀元前2000年頃の古代バビロニアにまで遡ります。当時、バビロニアの天文学者たちは、天体の動きが王国の運命や人々の生活に影響を与えると考えました。この思想はエジプトやギリシャ、ローマに伝わり、そこで体系化されていきました。
特に、古代ギリシャの哲学者たちは、天体の運行を数理的に分析し、占星術をより科学的な学問として発展させました。ギリシャ時代のプトレマイオスの影響が大きく、彼の著書『テトラビブロス』は占星術の基礎を築きました。その後、西洋中世期を経てルネサンス時代にかけて、西洋占星術はヨーロッパ全土で再び脚光を浴びることになります。
西洋占星術の基本
現代の西洋占星術は、12星座とホロスコープを基本にしています。占星術では、個人が生まれた瞬間の星の配置が、その人の性格や運命を示すと考えられます。この配置を「ホロスコープ」と呼び、誕生日、出生時間、出生地などの情報を元にして作成されます。ホロスコープには、太陽、月、その他の惑星が特定の星座に位置している様子が描かれ、それぞれが人間の特定の側面に影響を与えるとされています。
太陽星座: 一般的に言われる「星座」であり、個人の基本的な性格やアイデンティティを示します。 月星座: 感情や内面の世界を反映し、個人の感受性や本能的な反応を表します。 惑星の位置: 各惑星がどの星座やハウスに位置するかが、個人の人生における特定の領域(愛情、キャリア、健康など)にどう影響を与えるかを示唆します。 このように、西洋占星術は、星座や惑星の配置が人生の様々な面に影響を与えると考え、その配置をもとに個々の運命や未来を予測します。
占星術と運命
占星術では、天体の動きが運命を形作るとされ、人々の性格や出来事、将来の選択に大きな影響を与えると考えられます。たとえば、特定の星座に太陽が位置する時期に生まれた人は、その星座の特性(牡羊座ならば勇敢、獅子座ならば自信家など)を強く持っているとされます。さらに、惑星がどのハウスに位置するかによって、仕事、恋愛、財政などの面での運命が占われます。
この考え方は、ゲーム内のモナの運命観とも強く関連しています。モナは星の動きが人々の運命を決定すると信じており、それを読み解くことで運命を知ることができると考えています。現実世界の占星術でも、同様に天体が運命を示唆するものであり、運命は星に「書かれている」と捉えることができます。モナの「運命は運命の星の導き」というセリフは、まさにこの思想に基づいており、現実の占星術における運命論と一致する部分があります。
3. 決定論と自由意志:哲学の視点から見る運命
運命に対する哲学的なアプローチは、決定論と自由意志という二つの対立する概念を中心に議論されてきました。『原神』のモナが信じる「運命は変えられない」という思想は、決定論に通じるものがあります。このセクションでは、決定論とは何か、その対立概念である自由意志との関係、そしてモナの運命観とこれらの哲学的立場との比較を行います。
決定論とは?
決定論(Determinism)とは、あらゆる出来事が過去の原因によって決定されているという哲学的立場です。つまり、現在の状況や未来の出来事はすべて、過去の出来事に影響されて必然的に起こると考えられます。この考え方に基づくと、人間の選択や行動もすべて過去の出来事や自然法則によって既に決まっており、そこに偶然や自由な意思は介在しないことになります。
例えば、古代の哲学者たちが唱えた「宿命論」は、神や宇宙が人間の運命を定めているという形で、決定論的な運命観を持っていました。また、物理学の世界でも、ニュートン力学によって確立された古典的な物理法則が、すべての物体の運動が既存の原因に従うと説明されたため、決定論的な世界観が強まりました。
自由意志との対比
決定論に対する反対の立場として挙げられるのが「自由意志(Free Will)」です。自由意志とは、人間が自分の意思で選択や行動を決定できる能力を持っているという考え方です。自由意志を信じる人々は、運命はあらかじめ決まっておらず、人々はその選択によって自らの未来を変えることができると考えます。
この対立は、哲学や倫理学、宗教において長い間議論されてきました。たとえば、自由意志を信じる立場からすると、人は道徳的責任を持ち、自分の行動に対して裁かれるべきであると主張します。しかし、決定論の立場からすると、もし人間の行動が全て過去の原因に基づいて決まっているならば、個人に対して責任を負わせることは不合理だという議論も成り立ちます。
モナの運命論との比較
モナの「運命は運命の星の導き」という言葉は、彼女が信じる決定論的な運命観を象徴しています。彼女は占星術師として、星の動きがすべての運命を決定していると考えており、これは決定論の考え方と非常に似ています。彼女にとって、星の配置や運行は未来を予測できるものであり、運命を変えることはできないという信念を持っています。
この運命観は、哲学的な決定論と重なる部分が多いです。モナは、人々の運命が星によって予め決められており、それを受け入れるしかないと考えています。この点で、モナの運命論は「自由意志による未来の変化は不可能であり、すべてが既に決まっている」という強い決定論に基づいています。
一方で、ゲーム内の他のキャラクターや物語は、自由意志や自己決定によって運命を変えようとするテーマを扱うことがあり、モナの決定論的な信念が対照的に描かれることもあります。この対立構造が、ゲームの中でキャラクターやストーリーの多様性を生み出し、プレイヤーに「運命とは何か」という問いを投げかける重要な要素となっています。
4. 現実とフィクションのつながり:どう学ぶか?
『原神』のモナが語る運命論や占星術は、フィクションの要素を含みながらも、現実の占星術や哲学に通じる部分が多くあります。ここでは、占星術や運命に関する哲学的な問いに興味を持った読者が、実際にこれらの分野を学ぶためのリソースを紹介します。
占星術を学びたいなら
占星術の基礎を学ぶには、まずホロスコープや星座の基本的な概念を理解することが重要です。以下のリソースを使って、占星術についての知識を深めることができます。
書籍:
『ホロスコープの基本』(ISBN: 978-4382077267) 西洋占星術の入門書として定評のある一冊です。ホロスコープの読み方から、各惑星の象徴的意味まで、占星術の基本が丁寧に解説されています。
『占星術入門:星の導きで知る自己と運命』(ISBN: 978-4794214915) 占星術が個々の運命にどのように影響を与えるのかについて詳しく学べる本です。
オンラインリソース: Astro.com: 有名な占星術サイトで、無料でホロスコープを作成できるほか、様々な占星術に関する解説記事も充実しています。 Cafe Astrology: 初心者向けにホロスコープの基本的な読み方や、占星術における星座の象徴を説明しています。 これらのリソースを使って、実際に自分や他人のホロスコープを作成してみると、占星術の概念がより具体的に理解できるでしょう。
哲学を学びたいなら
運命や決定論、自由意志に関する哲学は、歴史的に重要なテーマであり、多くの哲学者によって深く議論されています。これらのテーマに興味を持った読者向けに、哲学を学ぶための書籍やリソースを紹介します。
書籍: 『自由意志と決定論:その哲学的論争』(ISBN: 978-4326151111) 決定論と自由意志に関する古典的な論争を分かりやすく解説した本です。哲学的な視点から運命についての理解を深めることができます。
『運命とは何か:哲学的探究』(ISBN: 978-4140804887) 運命や自由意志の問題を哲学的に掘り下げた書籍で、モナのような決定論的な運命観を現実の哲学的議論に関連付けて学ぶことができます。
オンラインコース: Courseraの哲学コース: 決定論や自由意志について学べる無料のオンライン講義が提供されています。たとえば「The Philosophy of Free Will」などの講義を受講することで、深い理解を得ることができます。 edX: 世界中の大学が提供する哲学のオンラインコースがあります。中でも、運命や決定論に特化した講義を選んで受講することが可能です。 哲学的な運命論を学ぶことで、モナが信じる運命論に対して、より広い視野での理解が可能になります。
さらに深く学ぶために
占星術や運命に関する哲学をさらに深く学びたい場合、科学や宗教との関連性にも目を向けると興味深い洞察が得られます。以下のリソースを参考に、占星術と科学、哲学の交差点について探求してみましょう。
書籍:
『科学と占星術の歴史』(ISBN: 978-4860035440) 占星術がどのように科学の発展に影響を与え、逆に科学の進展が占星術にどのような批判をもたらしたのかを歴史的に解説した本です。 『量子力学と自由意志:運命を科学的に考える』(ISBN: 978-4152097919) 科学的視点から自由意志や決定論について考察した本です。量子力学が決定論に与えた影響など、科学と哲学の交わるテーマを扱っています。 専門的な学問リソース:
哲学科・宗教学科での学び: 多くの大学で哲学や宗教学のコースを提供しています。特に宗教と運命、哲学的な決定論に興味がある場合、これらの学問分野を掘り下げるとよいでしょう。
結論
『原神』のモナが信じる「運命は運命の星の導き」という考え方は、フィクションの世界だけでなく、現実の占星術や哲学の運命論とも深い繋がりを持っています。占星術では、天体の動きが人々の運命や性格に影響を与えるとされ、一方で哲学では決定論や自由意志が運命に対する理解を深める手がかりとなります。モナの運命観は決定論的な思想に基づいており、それを理解することで、運命についてのフィクションと現実の考え方を照らし合わせることができます。
占星術や哲学を学ぶことで、モナのようなキャラクターが持つ運命観をより深く理解し、自らの運命や選択に対する考え方を広げることができるでしょう。運命を固定されたものと見るか、変えられるものと見るか、その問いは今もなお、多くの人々の心に響くテーマです。